『哲学史入門IV: 正義論、功利主義からケアの倫理まで (NHK出版新書 750)』
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(著) 古田徹也 児玉聡 (著) 神島裕子 立花幸司 (著) 岡野八代 ブレイディみかこ 斎藤哲也編
出版社 :NHK出版(2025/9/10) ISBN:4140887508
第一人者との問答で流れと主要論点をつかむ、“まったく新しい哲学史入門”再始動!
第4巻のテーマは倫理学! 複雑極まる現代を、私たちはどう生きるべきか。何が正しく、何が許されないことなのか。
アリストテレスからはじまり、ベンサム、ミル、カントを経て、ロールズ、ギリガン、マッキンタイア、ヌスバウム、ピーター・シンガーまで、主要な思想家・ジャンルを網羅。
特別章では、アナキズムと倫理の深いつながりに迫る。問答形式で哲学を学ぶ面白さを伝える、ありそうでなかった決定版入門シリーズ!
目次
はじめに──斎藤哲也
序 章 倫理学に入門するとは何をすることなのか──古田徹也
第1章 現代に生きる功利主義──児玉 聡
第2章 義務論から正義論へ──神島裕子
第3章 徳倫理学の復興──立花幸司
第4章 なぜケアの倫理が必要なのか──岡野八代
特別章 「地べた」から倫理を考える──ブレイディみかこ
2025/9/18 本格的に読みはじめる
序章「倫理学に入門するとは何をすることなのか」(古田徹也)。倫理学、あるいはそれを学ぶことの必要性が語られる。どこかの頂上にたどり着いて終わりとするのではなく、生きることの現場にいつつ、解釈と批判を続けることの重要性。
"読み続けていたくなるような粘り強い思考は、単純なかたちに凝り固まっていないし、簡単に要約できるものじゃない"という指摘はその通りだと思います。
第1章「現代に生きる功利主義」。よくある功利主義についての誤解と、功利主義が抱える課題が丁寧に示されます。「二層理論」は、思索と実践をつなぐよい橋渡しではないかと感じました。
第2章「義務論から正義論」(神島裕子)。ロールズが受容された状況の確認と共にカントとの接続、そしてセン、ヌスバウムなどのポスト・ローテイな思想への流れが示される。
第3章「徳倫理学の復興」(立花幸司)。「徳」という言葉が失効していた期間があり、そこから再び(アリストテレスを参照する形で)「人がいかに生きるべきか」を考える徳倫理学が立ち上がってきた。人が生きる中で、その実践において行為の価値を判断することの難しさ。
それにしても、新しいものを立ち上げるときに「過去のものを参照する」というルートがあるのがすごいですよね。
第4章「なぜケアの倫理が必要なのか」(岡野八代)。ある種の抽象的な議論が取りこぼしてしまう具体的で個別的で実践的な、それでいて不可欠なものに注意を向けること。後半の倫理を領域を切り分けて全体を編みなおそうとする仕事はとても重要そう。
特別章「「地べた」から倫理を考える」(ブレイディみかこ)。アナキズムについて、それまでとは違う理解の水平が示された。「助け合うことこそがアナキズムだ」という言葉は驚きと共に納得できる。
『哲学史入門Ⅳ』(斎藤哲也編)を読み終えました。功利主義,正義論,徳倫理学,ケアの倫理,そしてアナキズムとエンパシー。人の生をどのように考えるかについてさまざまな視座とアプローチが存在することがわかります。第4章でそうした視座をどう使い分けるのかも提示されているのがよかったです。
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